電験第3種に合格し、第2種の学習を始めると、まず、つきあたるのが数学で、いろいろな参考書を見ても内容が難しく、そのうち途中で投げ出すケースが多いと聞きます。私自身、今まで第3種合格者に第2種の学習指導を行ってきましたが、初学者に適切な参考書が見あたらず、自分なりに作ったテキストを使って指導してきました。
本書は、そのテキストをもとに、いかにわかりやすく、早い時期に第2種に合格するために必要な数学を学習してもらうかをテーマに書きあげたもので、次のような構成となっています。
(第1章)
戦を起こすには、まず敵を知らねばなりません。この章では、第2種で出題される問題を解くためにはどのような数学力が必要かを、学習のポイントとしてまとめてみました。これにより、今まで難しいと考えていた第2種の数学が恐るるには足らぬものであることがわかるはずです。
(第2章〜第8章)
数学は積み上げの学習です。したがって、効率よく学習するためには、順序が大切です。その意味で、本書は、三角関数、複素数、微分法、積分法、微分方程式・ラプラス変換の順で記述してあります。
おのおのの項目には、数学の問題や実際に出題されるレベルの応用問題を収め、単なる数学の学習としてではなく、あくまで電験に出題される問題と直結した学習ができるように工夫してあります。
ただし、応用問題を解くことができるようになるには、理論をはじめとする各科目の一通りの知識も必要です。したがって、初めて学習する方の場合には、まず、数学に関する箇所を学習し、一次試験および二次試験の各科目の進度と合わせて関連する応用問題を学習してください。
また、おのおのの項目の末尾には、まとめと練習問題がついていますので、これにより自分の理解度をチェックしてください。
(第9章)
以上の項目のほかに、スポット的に必要な数学的知識もあります。これらをこの章にまとめて記述してあります。
参考書を使っての学習は、本を読むだけでは実力がつかないことを胆に銘じてください。本書の計算も、必ずぺンを持って、計算過程を自分で追って解いてください。最初は書き写すだけかもしれませんが、何度も繰り返すことによって、体で覚える段階に至ります。そのようになれば、公式や解き方の手順は簡単に忘れるものではありません。
なお、巻末に、第3種での学習事項も含めて数学公式集を付記しておきましたので活用してください。
一人でも多くの受験者が電験第2種に合格することを祈念いたします。
はじめに
第1章 電験2種のための数学とは
3種の数学とはどとが違うのか
第2章 2種の三角関数は3種とどう違いどこまで必要か
弧度法による角度と立体角
三角関数をグラフで表すと
三角関数の相互関係は
加法定理とは
加法定理から導かれる諸公式は
この章をまとめると
基本問題(数学問題)
応用問題
第3章 2種の複素数は3種とどう違いどこまで必要か
複素数とは
複素数の表示方法は
複素数の計算法則は
共役複素数と電力ベクトルとは
ベクトルオペレータとは
この章をまとめると
基本問題(数学問題)
応用問題
第4章 微分法とは何か
微分とはそもそも何をどうすることなのか
極限とは何か
微分係数と導関数とは
整関数の微分はどうするか
合成関数の微分はどうするか
無理関数の微分はどうするか
三角関数の微分はどうするか
指数関数・対数関数の微分はどうするか
微分法の応用はどこまで学習すればよいのか
この章をまとめると
基本問題(数学問題)
応用問題
第5章 積分法とは何か
積分とはそもそも何をどうすることなのか
不定積分・定積分とは
べき関数の積分とは
1/xを積分すると
三角関数の積分とは
指数関数の積分とは
置換積分とは
部分積分とは
この章をまとめると
基本問題(数学問題)
第6章 積分法の応用はどこまで学習するのか
面積を積分で求めると
球の表面積と体積を積分で求めると
平均値と実効値を積分で求めると
電界の強さと電位差の関係は
電流密度と電位差の関係は
ビオ・サバールの法則を使って磁界の強さを求めると
アンペアの周回積分の法則とは
照明の計算に積分をどう使う
この章をまとめると
応用問題
第7章 微分方程式・ラプラス変換とは
微分方程式とはそもそも何か
微分方程式の立て方は
ラプラス変換とは
なぜラプラス変換が必要なのか
逆ラプラス変換とは何か
三角関数のラプラス変換とはどのようにして導かれるのか
ラプラス変換を使って微分方程式を解くと
この章をまとめると
基本問題(数学問題)
第8章 ラプラス変換の応用はどこまで学習するのか
過渡現象をラプラス変換を使って解くと
伝達関数とラプラス変換とは
初期値定理と最終値定理とは
この章をまとめると
応用問題
第9章 その他の数学
行列と四端子定数
二項定理と近似値
図形と方程式
ベクトル軌跡とは
この章をまとめると
応用問題
数学公式
索引