①簡単に引用文献が参照できるようにしています
一般に書籍の場合、引用文献は各章末あるいは最後の箇所にまとめて記されます。本書では引用した文章近くに、あえて引用文献(QRコード)を配しています。その理由は、読者の皆さんに引用文献を参照していただきたいからです。特にQR コードがつけられたものは私が実践した論文です。併せてその論文をお読みいただくことで、さらにそれらに関する知識も深められると信じます。ぜひスマホをQRコードにかざして論文もお読みください。
②実験の様子、資料がQRコードから得られます
QRコードから実験の様子のビデオをはじめ、PowerPointのデータ、資料等がダウンロードできるようになっています。これらをもとに、子ども達の理解を深める理科授業をつくってください。
③教師の意図する実験結果が得られる実験のコツや教え方が習得できます
教科書には注意喚起をはじめ、実験内容が詳しく記されています。しかし、教科書に記されているように実験を行ってもなかなか教師の意図する結果が得られず、授業がうまく進展しないことがあります。それをなるべく回避するために、私が現場で得た実験のコツや特に子ども達がつまずきやすい箇所の教え方について随所に記しました。これらを参考に、皆さんがアレンジして授業をつくっていってください。
④子ども達がストンと胸に落ちる内容を重視しています
本書は基本的に小・中学校理科学習指導要領に基づいてつくられています。しかし、少し先取りして、内容を踏みこんで教えることを推奨している箇所もあります。その概念を教えることで、子ども達の見方・考え方が広がると私は信じるからです。少し難しいと思われる概念も、子ども達がわかるような形で提供できれば深い学びにつながります。たとえば、一般に電圧は小学校では扱いませんが、それを扱うことで子ども達の理解が深められることが明らかになっています。その実践が児童・生徒が普段受けている授業のレベルとほぼ変わらないことが重要なポイントとなります。また、本書の内容の中には、私が小学校への出前授業で使用した児童に好評であった実践も含まれています。その実践を参考に、ご自身の理科授業をつくっていってください。
第1章 ものの重さと体積
1.1 ものの重さと粒子概念
1.2 密度
1.2.1 質量と体積
1.2.2 単位量当たりの大きさと物質の密度
第2章 水・空気・金属の性質
2.1 物質の三態
2.2 閉じこめられた空気と水
2.3 「ものの温度と体積」の学習内容
2.4 理解を深める「ものの温度と体積」の指導理論
2.4.1 水の温度と体積
2.4.2 空気の温度と体積
2.4.3 金属の温度と体積
2.5 「水と空気の対流」の学習内容
2.6 理解を深める「水と空気の対流」の指導理論
2.6.1 水の対流
2.6.2 理解を深める「水の対流」の授業の流れ
2.6.3 空気の対流
2.6.4 理解を深める「空気の対流」の授業の流れ
2.7 ものの燃え方と空気の対流
2.8 熱平衡
第3章 力のはたらき
3.1 ゴムや風の力
3.2 質量と重さ
3.2.1 質量
3.2.2 重さ
3.3 フックの法則
3.4 てこ
3.4.1 てこの種類
3.4.2 つめきりと理科の有用性
3.5 輪軸
3.6 定滑車と動滑車
3.7 仕事の原理
3.8 圧力
3.9 浮力
3.9.1 沈む物体にはたらく浮力が主要な浮力の学習
3.9.2 最適な浮力の授業内容の型
3.9.3 理解を深める浮力の指導法
第4章 ものの運動
4.1 振り子
4.2 等加速度運動
4.3 力学的エネルギー保存の法則
第5章 光の性質
5.1 凸レンズの性質
5.2 フェルマーの原理
5.3 光が屈折する理由
5.4 半円ガラスを用いた屈折実験
5.4.1 光が空気中からガラス中に進むとき
5.4.2 光がガラス中から空気中に進むとき
5.5 浮かび上がって見えるコイン
5.6 光の反射
5.6.1 反射の法則
5.6.2 反射における作図
5.6.3 虚像が確認できる実験法
5.7 凸レンズがつくる像
第6章 音の性質
6.1 物体の振動と音
6.2 音の速さ
第7章 電流のはたらき
7.1 小学校での電気学習の内容
7.2 水流モデルと電圧概念の導入
7.3 理解を深める電圧概念の指導理論
7.4 理解を深める電圧概念導入の授業の流れ
7.5 水流モデルの型
7.6 オームの法則
7.7 電気抵抗
7.7.1 電気抵抗の考え方
7.7.2 合成抵抗の求め方
7.7.3 ゲーム性を取り入れた合成抵抗の指導法
7.7.4 ゲーム性を取り入れた合成抵抗の指導法の流れ
7.8 電気エネルギーからのエネルギー変換
7.8.1 電流による発熱
7.8.2 電気エネルギーから光、音、運動エネルギーへの変換
第8章 磁石の性質
8.1 磁力と磁力線
8.2 磁石のまわりの磁界
8.2.1 方位磁針が北を指す理由
8.2.2 ベクトルを用いた棒磁石のまわりの磁界の説明
8.3 磁石はどこまで切っても磁石
8.4 鉄釘の磁化
8.5 電流がつくる磁界
8.6 電磁石
8.6.1 電流がつくる磁界と電磁石
8.6.2 銅線を円形状にすると電磁石になる理由
8.7 電流が磁界から受ける力
8.8 誘導電流
8.9 クリップモーターのつくり方
第9章 ものの溶け方
9.1 水溶液における質量保存
9.2 濃度の均一性
9.3 水に溶ける溶質の量と温度
9.4 水に溶ける溶質の量と溶媒の量
9.5 理解を深める「溶解度と溶け残りの量」の指導法
9.6 水溶液の性質
9.7 水溶液の濃度計算
9.7.1 水溶液濃度計算でつまずく要因
9.7.2 理解を深める「水溶液の濃度計算」の指導法
9.8 飽和水溶液と飽和水蒸気量
9.8.1 飽和水溶液の溶解度と飽和水蒸気量のグラフの違い
9.8.2 飽和水蒸気で飽和水溶液を想起させることの有効性
9.8.3 飽和水溶液と飽和水蒸気量の共通点と相違点
第10章 化学反応
10.1 気体の発生
10.1.1 気体の収集方法
10.1.2 酸素
10.1.3 水素
10.1.4 二酸化炭素
10.1.5 アンモニア
10.1.6 ものの燃焼前後の気体
10.2 化学反応
10.2.1 アルミニウムと塩酸の反応
10.2.2 炭酸水素ナトリウムの熱分解
10.2.3 鉄と酸素の反応
10.2.4 鉄と硫黄の反応
10.2.5 酸化銀の熱分解
10.2.6 炭素による酸化銅の還元
10.3 質量保存の法則
10.4 化学反応式
10.4.1 化学反応式を書くことの難しさ
10.4.2 理解を深める化学反応式の指導法
10.5 分解と化合
10.6 中和反応とイオン
第11章 月・星座・内惑星の動き
11.1 月の満ち欠け
11.1.1 「月の満ち欠け」の学習内容
11.1.2 「月の満ち欠け」のつまずきの要因
11.1.3 理解を深める「月の満ち欠け」の指導法
11.2 星の日周、年周運動、内惑星
11.2.1 星の日周、年周運動、内惑星の学習内容
11.2.2 星の日周、年周運動、内惑星の動きを理解させるための教具の開発
第12章 だ液のはたらき
12.1 だ液のはたらきの学習内容
12.2 だ液のはたらきの実験の難しさ
12.3 開発しただ液のはたらきの実験法
第13章 理科授業で押さえておくべき指導法
13.1 数学との教科横断的な指導法
13.1.1 理科と四則計算
13.1.2 数学との教科横断的な指導事例
13.2 単位に着目した問題を解決させるための指導法
13.2.1 単位指導の方法
13.2.2 単位指導の効果
13.2.3 単位をそろえないことの危険性
13.2.4 公式における量同士の関係
13.3 応用問題を解決させるための指導法
13.4 類推問題でターゲット問題を解決させる指導法
13.5 4Qsによる仮説設定を容易にさせる指導法
索引