1979年に起こった日本坂トンネル火災事故。そのときから、常に著者の心のどこかでささやいている“いま、そこにある危機”。大型車の火災がトンネル内で発生したらどうするか?
道路交通分野のシステム作りに携わってきた著者が、40年間常に関心を持ち続けてきたリスクの低減策について、欧州で起こった大規模トンネル火災を機に見えてきたことで書かれた本書。高度な数式もなければ、専門能力も必要とせず、具体的な事例を中心に課題や対応策をできる限りわかりやすく紹介している。もっと専門的にという方には、文献や本を紹介している。
第1章 事故事例に学ぶ
日本坂トンネル火災事故(1979)と判決
事故の概要
判決文(1991)とその補足
火災検知に連動した水噴霧制御
日本坂トンネル火災事故後(1979〜1980)の検討
システムの基本は何か
情報収集系(火災検知器系)の課題
初期制御の支援
1980年の設計・システム構築
欧州 アルプストンネル火災事故
モンブラントンネル火災事故(1999年3月24日)
タウエルントンネル火災事故(1999年5月29日)
ゴットハルトトンネル火災事故(2001年10月24日)
フレジウストンネル火災事故(2005年6月4日)
欧州のトンネル火災事故に学んだこと
第2章 システム設計とシステム構築
システム設計
企画と設計のプロセス
要件定義
システム構築
開発フェーズ
移行と運用フェーズ
システムの障害から学ぶ
第3章 今後の展望
この40年間の改善事項
今後期待する新たな流れ
近年急速に展開している自動運転技術
渋滞の無い高速道路
交通事故による火災発生の防止
参考資料
交通管理の運用とシステム
トンネル監視制御システムの特徴
非機能要求グレード
***つぶやき***
組織は作ったときが最高
入札制度の変化
素直になれ
40の関所
技術継承の難しさ
素晴らしき上司